「まちじゅうエヴァンゲリオン第3弾」にご参加いただき、ありがとうございました!
「ロンギヌスの槍」の移設工事について
UBEビエンナーレ彫刻の丘に設置されていた「ロンギヌスの槍」は、ときわ公園内の常盤橋付近(⽯炭記念館側)に移設しました。
移設⼯事は2/23(⾦)に完了しております。
また、「まちじゅうエヴァンゲリオン第3弾」期間中に実施していたライトアップについても、好評につき再び実施します。
※⽇没から22時まで点灯します。
※画像はUBEビエンナーレ彫刻の丘に設置されていた時のものです。
全長約7メートルの「ロンギヌスの槍」が宇部市に出現!!
代表する企業の1つUBEグループの株式会社宇部スチールによって、市近郊の鉄スクラップを再利用し制作した全長約 7 メートルの「ロンギヌスの槍」が市に寄贈されました。同社の長年培われた優れた鋳造技術により、「エヴァンゲリオン」の作中で、重要な役割を果たす巨大な「槍」が甦り、ときわ公園に出現することとなりました。
ロンギヌスの槍 鋳造工程!
「ロンギヌスの槍鋳造プロジェクト」スペシャル三者対談
先ほど触れていなかったんですけど、実はロンギヌスの槍の向かい側にある「蟻の城」の材料は、60年前に当社のスクラップヤードから持っていったスクラップなんですよ。
制作1962年、僕の生まれ年ですよ。
宇部日報さんにも書かれていたんですけども、60年前にそこのうちのスクラップヤードから出来たスクラップで出来上がっている「蟻の城」……そのちょうど真向かい、今回我々が作った槍が刺さったということで、我々からすると非常に縁があるな、と。
60年前の先輩方が努力して出来上がった「蟻の城」と、その向かい側にロンギヌスの槍が刺さった。その巡り合わせというか、非常に嬉しいなという風に思っています。
今回よりも廃材をしっかりと重ねて作ったということで、やっぱり環境都市としてのベースが歴史にありますし、そういう意味でも非常にありがたい。
まさにもの作りの技術と、そういう環境にも配慮したロンギヌスの槍が完成できるということを本当に嬉しく思います。
(展示されている鉄スクラップを見ながら)ここにも展示させてもらいますけど、こんな感じの、廃材のスクラップを使って作りました。何のものか分からないかもしれないですけど、こんなものを溶かして作りました、ということで。
金属ならではですね。プラスチックではそのような再利用はまだ今の技術ではできないですから。本当に街中で使われていた金属でこの槍が出来ているっていうことですよね。
鉄という素材の一番面白いところは、何度でも繰り返して使えること。それと、合金とかいろんな材料を加えたり、熱処理を変えると、いろんな性状が活かせること。また使い終わったら溶かせるんです。
この話を聞かせてもらって、「一回破滅させて再生させていく」っていう、いちファンとしてそっちにワクワクするんですけど……
(笑い声)
人類補完計画ですね。(笑)
ストーリーを感じるな、と思いながら。
ロンギヌスの槍は、実はこれまでにもたくさん立体化されてきてるんですよ。プラモデルの付録とか、ケーキ用のフォークとかアクセサリとかですね。
そんな中で、一番最初におお、と思ったのが、やっぱ鉄製のものだったんですよ。これは鉄の板をガンガン叩いてつくったもので。鍛鉄ですね。鍛鉄職人さんが2メートルぐらいの槍を作って、「すごいな〜」と感動しました。
ほかにも、金属で言うとチタン製の槍もありました。四国のチタン芸術家さんが、独特の技法で作られて、それも非常に面白い地肌と光沢でした。
あと日本刀ですね。日本刀の刀匠さんが本当に日本刀を鍛える技術でこれまた4メートル近い槍を作られていて、これは日本刀展でも展示をさせてもらっている。金属って本当に面白いですよね。
いろいろなマテリアルも、作り方も、いろんな方法でトライをしていただいて、でも今回はこのサイズで、金属の肌感がそのまま伝わります。重量感がすごい。
そうですね。社内にいると、1トンぐらいのものは軽いな〜、大した大きさじゃないな〜と思うんですけども。
(笑い声)
軽自動車1台ぐらいの重量ではあるんですよね。
(鋳込の動画を見つつ)YouTubeの方に上げさせていただいている動画の再生回数を見ていると、こういうところに皆さん興味をお持ちなんだなと、我々も興味深く見させてもらっています。どこが一番多かったっけ?
この回(鋳込の回)ですね。
この鋳込のところと、バラシのところが(再生数)多かったですよね。意外なところに興味があるんですね。
格好いいですよね。ここでバンッと流れていって。
これはもう(鉄が)流れていって今動いている状態です。
(バラシの回の動画を見ながら)これで結構多かったですね。砂の中から槍が出てくるという。
最後、槍を起こす所で、グイッて出てくるところがいいですね。
Mark.06ですか。取りに行くところ……
(笑い声)
ごめんなさい、もうなんか……すみません。(笑)いちファンのコメントになっちゃって。
ここで槍が出てくるっていう……実際に作ってますっていうところですね。
このらせんのところは本当難しいんじゃないですか。素人考えですけど。
難しいですよね。僕は見てるだけなんですけど(笑)、難しいと思います。
らせん状の上下の型をぴったり合わせるとか、この重さの型がよく合うな〜、と。
そうですね、比較的ぴったり合っていたと思います。あれはやっぱり模型の精度が良かったということなのかな。(展示パネルを指差し)鋳造工程で書いてある模型制作っていうところがあるんですけど……
原型ですよね、要は。
原型、原型(げんがた)ですね。これを加工するそのときの精度が、やはり食い違いとか、段が出てくるので。もうこの精度だと思いますね。
僕は学生の頃に、シリコンゴムの型にレジン(プラスチック)を流し込んでおもちゃを作るアルバイト……手流しの注型をやってたことがあるんです。その時の経験から考えて、あの型の精度のすごさとか少しはわかります。細長いもので、しかもあんな形状のああいう……抵抗が大きいですよね。らせん状だから。流れ抵抗がものすごく大きいものを、よくこんな細長いもので作るのは至難の技だろうなと思いながら、設計図を拝見してて。
正直、鉄とか言いながら、どうせバラして溶接で繋ぐんでしょって最初思ってたんですよ。ところが「一発で鋳造するんです」って。7メートルのサイズをと聞いて本当びっくりしました。
やらせていただきましたね。
素晴らしい。
元々は炭鉱のいろんな機械など、そういう部品を作られたのがこの宇部スチールさんの前身なんです。
そうですね。弊社は、生まれは1914年なので。宇部地区の炭鉱のいろんな機械設備の修理屋といいますか、部品製作をやったのが生まれです。以降、何がしか鉄に関わるお仕事をずっとやってきて、今に至ると。場所も今の創業したところと変わってないんです。工場そのものは変えてますけど、場所は変わってない。宇部の地元の企業というところです。
炭鉱用の機械が、今ロンギヌスの槍になったと。
なりました。
庵野さんにも喜んでいただけるといいなと。
私も宇部生まれ、宇部出身、宇部育ちの宇部在住の人間でございますから。
先ほどの(オープニングセレモニーの)メッセージでも「触ってください」とおっしゃっていますが、触ってくださいっていうロンギヌスの槍は、これまでいくつかあったなかで初めてじゃないかな。
ああ、なるほど。
日本刀は絶対触っちゃダメですね。チタンも色が変わっちゃいますから。
大きな作り物であればあるほど、FRP(繊維強化プラスチック)だともう、お子さんがぶつかったら、折れたらどうするんだって話になって。厳重に柵で囲って、触らないでくださいって言わざるを得ないのですけど、今回初めて「触ってください、触ってください」って。
おそらく皆さんが触られるであろうということを前提に、本物は刃物感を出したければもっとエッジをシャープにしたいんですけど……。おそらくちょうどいい高さですよね。必ず皆さん触るし。
くぐりたくなるんですよ。
小さいお子さんも触るよねっていうことで、ちょっと角は丸くさせてもらいました。展示するだけであればもっとシャープに仕上げることもできたとは思います。
触っていただくと一番に鉄の冷たさと、何となくやっぱり重厚感を感じていただくといいかなと思います。
これから寒い季節ですから、鉄の冷たさというのを感じてもらえるといいですね。宇部市の彫刻の一つの特徴が「触れる彫刻」というのをテーマにしていて、それともすごく沿う形になるので、ぜひいろんな方々にも触って、またいろいろ興味持ってもらえたりとか。多分こういう制作過程を見て、こういう技術者さんになりたいなっていう若い方も出てくるんじゃないかな。
ぜひぜひ来ていただきたいなと。
そういうところにアニメーションを活用していただくっていうのは我々にとって非常にありがたく嬉しいことなんですよね。
30分アニメを見て面白かったねっていうだけではなくって、まずアニメーションという映像の世界の外で、その作品とか、こういったモチーフとかパーツを使っていただく、それによって作品の認知が高まるというのもありますけれども、それ以上に公共性の高いものであったり、技術の高いものであったり、あるいは美味しいものであったり、そういったものに使っていただくっていうことは、作品自体のバリューの向上に繋がるんです。
体験ってのはやはりすごく大事で、映画館とか自宅のテレビの前に座っているだけではなくって外に出て、エヴァンゲリオンが好きだから外へ出ました、行って触ってみて冷たい、面白いっていう感動をやっぱり体感として感じることができる。これも作品を見るだけでは生まれない感動がここで生まれるんですよね。
それによってその作品側のファンとしては、エヴァンゲリオンが好き、僕や私がエヴァンゲリオンが好きだったからこういう面白い体験ができたよっていうのは、作品にとってすごく価値がある。
加えて、こういった技術の面白さに作品をきっかけにして触れられるっていうのも、それこそほら、昔で言えば手塚治虫さんのブラックジャックを見てお医者さんになりましたみたいな方が多くいらっしゃるじゃないですか。アトムを見てロボット技術者になりました、とか。そういったところにも繋がっていく……若い人たちに対する将来の選択肢みたいなものを一つ知ってもらうきっかけに使ってもらうのはすごく光栄ですね。
実際に我々が製造業をやっていると、やっぱり若い方々の製造業に対する意識っていうのは低くて。生々しく言うと人材採用の場面でも、こんなにも興味が下がっているよねっていう現実に直面しているわけですね。
やはり製造業で素形材を作ることがなければ、世の中のいろんな構造が成立しないので、これから例えばこういうものを見て、作るって面白いよねっていうところに興味を持ってもらえる若い方っていうのが1人でも2人でも出てきてもらいたいですね。やっぱり宇部市で作っているのだから、その宇部に住まれている方が興味を持って来たり、「いいじゃん!」と、そんな感じを持っていただけると嬉しいと思いますね。
ここまで何か、いいものできちゃったなって思うんですけど。
鋳物(いもの)だけに。
いいものだけに(笑)。いや、これは本当そう思います。いい方向に繋がっていただければいいなと思いますね。
ダジャレがオチでいいのかな(笑)。
ありがとうございました。